前回、シミュレーターにおいてラップタイムが近いのは
「結果論に過ぎない」とお伝えしました。
タイヤμを弄り回せば誰でも出来るチューニングであり、
決して設計や開発ではありません。
その程度の調整では、
例えばトップスピードやコーナー毎の旋回速度が実車に合いません。
確かにタイヤμも大きな要素の一つですが、
荷重移動の速度、タイヤの力学特性、温度特性、応答遅れ等々…考えることは盛沢山。
それら物理的な要素一つ一つの再現度を高めて、初めてシミュレーターと呼べます。
この界隈ではいかにも聞こえが良いかのように「チューニング」が連呼されますが、
私共には数値的根拠に基づいた開発ができないと宣言しているように聞こえます。
「感覚でしか合わせこめない要素を詰めるのがチューニングだ!」
という声も聞こえてきそうなものですが・・・
シミュレーターの感性領域は、
トッププロ集団が何人集まり、何億掛けても未だに再現できていません。
しかし、理論に基づいて一つづつ地道に紐解き、
モデリング/ハードウェアを適切に開発することで、
少しでもリアルに近いシミュレーターをご提供することが可能です。
次回は、
「レーシングシミュレーターの衝撃の実態/シミュレーションの危険性」をお伝えします。
ご覧いただき有難う御座いました。
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