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シミュレーションソフトの独自整備に着手

今回は、弊社がシミュレーションソフトウェアの開発に着手する旨ご報告です。


弊社では、GT3車両のモデリング等を経験し、汎用ソフトウェアでも車高の1mm差まで再現できることを確認いたしました。その為にはタイヤのバネ乗数、動荷重半径(遠心力によるタイヤの膨張)、エアロマップ等など、あらゆる諸元が設計可能である必要性があり、汎用とはいえレベルの高い演算が行えることを意味しています。


ではなぜ、開発に着手する必要があるのか。


色々と意見の分かれるテーマだと思いますが、既存のソフトウェアがどの様なものか、まずは弊社の考えを整理したいと思います。


弊社は一般向けシミュレーションソフトとして、現時点ではAssettoCorsa(Pro)を推奨しております。

Proとノーマル版の違いは商用利用の可否と、UIのカスタム可否の違いですので、

ご自宅で利用される場合は通常版と何ら変わりがありません。


数あるソフトの選び方は目的に応じて色々ですが、

今回はその「色々」について具体的に書きたいと思います。


下記の表にて、それぞれのソフトが、何をどんなレベルで演算できるのかをざくっと書いています。(いずれも弊社の経験に基づく評価であり、製品の良し悪しそのものを表現するものでは御座いません。)


5行目のSimulinkまでは開発用によく用いられるソフトウェア、Assetto corsa以下は汎用に用いられるソフトウェアです。


開発用ソフトウェアに関しては、どのソフトウェアも全体的にレベルが高いです。

ただし価格も当然高く、中でも高価なソフトウェアの場合は、とても個人で使用する価格帯ではありません。シミュレーターそのものを商業的に運用する場合や、個人で使用する場合にはネックになりがちです。


そこで汎用ソフトウェアが選択肢になります。

シミュレーターとして使用する場合、車両挙動の再現度が気になります。

下記、上から順に整理します。個人向けに関してはいずれも安価なため、解説を割愛致します。


Assetto corsa

弊社がAssetto corsaを使用している理由は「実車の開発データを落とし込みやすい」ことと「シミュレーションの限界が明確」だからです。この2点は、車両モデルを独自に製作して運用するシミュレーターにおいて、非常に重要です。

タイヤモデル:一部課題がありますが、概ねの傾向は定量的に設計が可能です。しかしこの課題を踏まえた設計・運用を行う必要があります。

エアロマップ:弊社独自の手法を用いることで、あらゆる複雑なマップが再現可能です。

車体合成:再現しておりません

外部連成:外部の演算割り込みには対応しておりません


iRacing

全体的にモデル設計ができません。そのため、予め用意されたデータを信じて活用する分には車種も多く便利ですが、タイヤモデルの解析結果では、車両ごとに信頼度がまちまちであると判断しております。そのため、弊社では一切使用しておりません。ただし、オンラインレースの運営においては非常に優れており、e-raceの中心役として重要な存在であることは認識しております。また、車両の選択を誤らなければ基本的な運転操作のトレーニングには使用が可能だと考えております。

タイヤモデル:走行データから解析を行うと、非現実的なデータとなるモデルが存在しており、再現が保証されているとは言い難いと考えております。

エアロマップ:不明です

車体剛性:不明です

外部連成:非対応です。


rFactor

タイヤモデル:一部制約がありますが、概ねの傾向は定量的に設計が可能です。時定数は表現できません。

エアロマップ:一部制約があります。

車体剛性:非対応です。

外部連成:非対応です。


rFactor2

タイヤモデル:専用ツールで設計する必要があります。タイヤデータが無い場合はそれなりの傾向を模擬できる可能性がありますが、再現度については保証されません。タイヤデータを所有している場合は、このツールを介すことで再現が却って困難となります。

エアロマップ:一部制約があります。

車体剛性:対応しています。

外部連成:非対応です。


さて、ここまで各ソフトウェアを整理してきましたが、いずれのソフトにも課題があります。


車両開発・運転訓練・エンタメと、色々な使い方がありますが、どれも究極的に必要となる方向性はただ一つ「どれだけ物理計算を現実に近づけられるか」です。

さらに、近年では没入感向上のため・運転支援システムの検証のために高度なグラフィック表現も必要となっております。


これらを満たしつつ、より社会に広まる価格でシステムを提供するためには、もう独自開発しかありません。


そこで弊社では、車両運動シミュレーターの総合企業としての一面を強化し、高度なシミュレーション環境をより多くの方に届けるために、シミュレーションソフトウェアの独自整備に着手致しました。


今後の開発にご注目ください!


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