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執筆者の写真thsr1sf

レーシングシミュレーターの再現度|計測とモデリング

「レーシングシミュレーター」と聞いて真っ先に気になるのは、

「リアリティ」ではないでしょうか。


今回は、リアリティを追求するためのキーを重要度順にご紹介いたします。


1.計測とモデリング

  シミュレーションはあくまでも物理式に基づく連続計算です。


  計算のために「どんな条件に対して」「どんな振る舞いをするか」という

  「特性値」が「パラメーター」として予め読み込まれます。


  シミュレーションと聞くと、あらゆる要素をこと細かに

  計算し尽くすイメージを持たれるかもしれません。


  しかし、リアルタイム性が求められるシミュレーションでは、

  そのような理想的な計算は現時点の演算性能では実現できていません。


  例えば、空力特性を計算するCFDは、ある特定状態の計算を回すのに

  スパコンで数十分、シミュレーター用PCでも数時間から1日掛かります。


  レースシミュレーションは数msから数十msという

  非常に短い時間で計算を繰り返すため、到底計算速度が追いつきません。


  そこで、パラメーターの出番です。

  例えば予め決めておいた「姿勢」、「車速」に対してエアロマップを作製します。

  この状態ならこのダウンフォース、このヨーイングフォース・・・という様に。

  このマップが細かいほど再現度は高まりますが、データ計測が煩雑になります。


  また、専門用語で言う「非定常特性(過渡特性)」の再現に非常に難儀します。


  一定で変化が無い状態を「定常特性」と呼び、

  連続的に繋がり変化する状態を「非定常特性」と呼びます。


  例えば空力の場合、

  対気速度が一切変化しない=定常状態で測るダウンフォースと、

  加速で対気速度が変化する=非定常状態で測るダウンフォースは別物です。


  この非定常特性は計測が困難な場合が多く、

  そもそも技術的に特性が把握しづらいことがポイントです。


ここでもやはり、タイヤ


  またタイヤが登場します。

  車両運動やシミュレーションは、100の内1から90までタイヤです。

  

  まず、定常特性すら上手く測ることが困難です。

  路面とゴムの摩擦現象は非常に難解で、特性化が難しいです。

  また、発熱と冷却が絡むことで一層解析を困難にしています。

  

  例え試験機で計測しても、計測中に温度が上がってしまうからです。


  タイヤのパラメーターは数多く、

  設地面圧分布、キャンバー、温度、縦すべり率、横滑り角、

  タイヤ横変位、摩擦面分布・・・


  とても単純なマップでは表しきれない状態です。


  なので、各ソフト開発会社が半オリジナルで計算負荷が低く、

  なるべく単純化されたタイヤモデルを開発しているのが実態です。


  お店用のシミュレーターで使われるタイヤモデルも、

  考え方の根源を遡ればプロが検討するタイヤモデルと同じです。


  私共は、実車でタイヤ特性の計測を行い、

  無人でシミュレーターと実車の相関を確認した上で

  データをお引渡しするサービスをご提供可能です。

  シミュレーターで特定の車両を練習されたい方は、ぜひご相談ください。


  根拠無しにパラメーターを弄って、手動(有人)で走らせてリアル・・・

  というのは、技術屋のプライドにかけて行いません。


  ソフトの限界まで追求し、それでも残る差異はそのソフトの限界を表します。

  ご満足いただけない場合は、より自由度が高いプロ向けのソフトへご案内いたします。

  (ご予算があれば、ですが・・・)


次回、少々マニアックな「シミュレーションの計算方式」をご紹介いたします。

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