ご覧いただき、ありがとうございます。
今回はモーションリグについて触れます。
モーションリグというのは、
アクチュエーターでガタガタとシートを動かして、
身体に掛かるGを再現する装置のことですね。
・・・いいえ、Gはほとんど再現できません。
そして、
多くの装置はG以外の挙動とごちゃまぜになっています。
「そりゃあ5Gとか出せないけど、
少しくらい出せるでしょ。」
そんな声が聞こえてきました。
では、少し整理しながらご説明いたします。
説明をお読みいただいた後は、下記2点をご理解いただけるはずです。
・シミュレーターではリアルと言えるGの再現は不可能
・シートムーバーでGの再現を狙う方法は大きな課題あり
<モーションリグで再現できるのは、最大何G?>
ここでは、最も注目されるであろう前後・左右Gを考えます。
(残る並進Gは上下です。)
再現可能なGの上限は「リグの可動範囲」と「再現時間」で決まります。
(例1)水平方向に30cm動かせるリグで3秒間旋回を再現する場合
→再現可能Gは約0.07G
(例2)水平方向に50cm動かせるリグで3秒間旋回を再現する場合
→再現可能Gは約0.11G
いかがでしょうか。
おそらく皆様が想像されるより、圧倒的に小さなGしか再現できません。
また、特定方向への旋回が連続する場合更に上限Gに制約が掛かります。
「水平に移動してGが出せないなら、
傾けて重力を活用してしまおう!」
そんな声が聞こえてきました。
しかし実際に感じるのは純粋なGではなく、
実車より異様に大きなピッチ・ロール角です!
そして、むしろ本来のピッチ・ロール成分を
感じづらくなってしまいます。
そこで私共の筐体、SIMDRIVE-Proでは一切の並進G補正をカットし、
純正なピッチ・ロール・ヒーブ(上下動)の再現性向上に拘りました。
シミュレーターで高度なドライビングを行う為には、
車両からのフィードバックを正確に表現する必要があります。
<ヨー運動は、再現できる?>
この答えは簡単です。
サーキットが一周しているのに、シミュレーターは一周しません。
つまり、再現できません。
<テールスライドの表現>
ヨー運動は再現できないまでも、テールスライドを表現しようとする試みがあります。
上記課題を理由に私共の筐体「SIMDRIVE Pro-Y」では、全体の規模を縮めてヨーを表現し、旋回時の体感情報を補っています。
さて、次回はSIMDRIVE-Proの開発思想についてご紹介いたします。
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