前回は、お店のシミュレーターをご紹介しました。
今回は、あまり知られていないプロのシミュレーターをご紹介いたします。
2.プロのSIM
まず、お店のSIMとは比較にならないくらい高価です!
まずお店で営業向けには使用できないかと思います。
しかしプロが使用するソフトでは、
自分で計算ロジックを用意すれば何でも追加できます。
何でもできてしまうからこそ、
半分以上のパラメーターと計算ロジックは独自に用意し、
モデリングに掛かる労力は比較にならないくらい莫大です。
例えばアクティブサスペンションを再現したければ、
SIMULINK等で制御モデルを作成、連成させて稼働することが可能です。
Software In the Loop Systemの略で、SILSと呼ばれます。
(ソフト内で計算がぐるぐると回るので、Loopです)
タイヤモデルも、「純正指定のパラメーターを入れるだけ」ということはありえません。
タイヤ試験機で得た実験同定モデル(Magic Formula)の使用や、 実際のエンジンやポストリグを組み合わせた半実機試験を行うことが可能です。
例えばエンジンベンチやポストリグ(加振機)等の実験設備をリアルタイムに稼働し、
実験値をまたシミュレーターに戻す、HILS(Hardware In the Loop System)と呼ばれる使い方もあります。
ちなみに、日本のポストリグではチーム ル・マン様が代表格かと思います。
大変勉強になる記事を数多く投稿されておりますので、
ご興味をお持ちの方は一度覗かれることをお勧めいたします。 https://www.facebook.com/temlemans.shaker/
HILSの場合、実験的に得られないデータがシミュレーションで計算される、
実験とシミュレーションの融合型として使われます。
実際にレースで使う液晶やスイッチ付きのステアリングを組み込む場合も、HILSです。
ただし、
私共はお店のSIMにもリアルな操作系を組み込むことが可能です!
「操作系」と書いたのは、ステアリング、ペダル、スイッチ類全て対応可能だからです。
末尾になりますが、いくつかプロ向けのソフトウェアをご紹介いたします。
どの会社さんも、最近は交通安全系や自動運転開発系に力を入れられている様です。
ISI様 rFactor pro(REDBULL F1チームが使用)
VI-grade様
番外編.プロのSIM(ドライバーモデル)
これがいわゆる、リアルタイムではないシミュレーターです。
ドライバーモデルに計算させてサーキットをアタックさせたり、
既定の入力を自分で作成して車を走行させるシミュレーション手法です。
リアルタイムな計算が不要なため、重たい計算も回すことができます。
例えば、CFD(数値流体力学)やエンジンの燃焼シミュレーションと連成させるなど。
筆者はあまり存じ上げませんが、量産車開発の世界ではこちらの方が一般的と聞きます。
レースシミュレーションやレギュレーション変更に対応するような、戦略立案に使う場合はドライバーモデルシミュレーションが非常に有益です。
多くの場合、1周数十秒で計算が完了するため、仕事が捗ります。
できれば筆者の自宅にも置きたいところですが・・・まだ叶わぬ夢です(笑)
Commentaires